トップ > お役立ち情報 > ウサギ・犬猫情報 > ウサギの避妊手術について
近年ウサギの飼育頭数が増加傾向にあり、それに伴い当院を受診する頻度も増加しています。
受診の理由としては、食欲不振や元気の減退、糞便量の減少または下痢などが多くを占めますが、これらの症状の原因として、消化器系のトラブルや歯牙疾患などの他に、特に目立つ疾患としてメスウサギの子宮疾患が挙げられます。 食欲や元気の減退のほかに、血尿を症状として来院する場合が多く、診察の結果、膀胱からの血尿ではなく子宮からの異常な出血であることが判明し、子宮疾患であるとの診断がなされます。
一方で、まったく症状を示していないウサギにおいても、通常の避妊手術時に子宮の疾患が発見されることも多く見られています。 当院の経験でも、多頭のウサギを飼育されている飼い主様の3歳から5歳のウサギを一斉に避妊手術したところ、70%以上の確率で無症状のウサギに子宮疾患が発見されました。
文献的にも、4歳以上のウサギの60%に子宮疾患が発生しているとされています。子宮疾患の内訳としては、当院での症例および文献的にも子宮癌(子宮腺癌)が最も多く、その他、子宮蓄膿症、子宮水腫、腺癌以外の子宮に発生する腫瘍、卵巣腫瘍なども認められます。
これらの事実から、性成熟に達する生後6カ月以上のウサギにおいては、なるべく1歳までの間に避妊手術を実施することをお勧めします。生後6カ月上経過後はできるだけ早く、1歳前後までに避妊手術を実施することが望ましいと思います。
ウサギは、生後1年を過ぎた頃より外見上は肥満ではないウサギでも急激に子宮や卵巣の周囲に脂肪組織の沈着量が増加するため、それらが手術の難易度を増加させる特色があるため、1歳未満が望ましいのです。
当院で実施しているウサギの避妊手術の手術方法は、一般的に犬や猫で実施されている方法と同じであり、卵巣子宮全摘出術と呼ばれる術式を採用しています。全身麻酔下において開腹し、卵巣と子宮を摘出します。
全身麻酔はイソフルランという吸入麻酔薬を使用して麻酔の導入と維持を図ります。手術リスクに関しては、犬猫の避妊手術と比較してウサギのリスクが高いということはありません。むしろ、数年後に発生する子宮疾患の罹患率のリスクのほうが、比較にならないほど高率であることは確かです。
現在のところ、ウサギの避妊手術に関しては、犬猫とは異なり、飼い主様の間で市民権を得ているとは言い難い側面がありますが、4歳以上のウサギにおける子宮疾患の発生率の異常な高さを考えると、手術自体の必要性は犬猫よりもむしろ遥かに高いと断言できます。
また、当然ながら避妊手術を実施した場合には、発情期が無くなりますので、発情期間中に見られる、攻撃性の増加などの性格の変化や偽妊娠に関連した巣作り行動(自分の毛を引き抜いて一か所に集めます。)などの行動が無くなります。総じて発情に関連したストレスから解放されると言えるでしょう。
以上の通り、当院といたしましては、ウサギの避妊手術を積極的にお勧めいたします。