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    フェレットの皮膚に付着する黒い小さな塊について(肥満細胞腫)

    川崎市、多摩市、横浜市、稲城市、大田区、目黒区、世田谷区の皆さんこんにちは。
    川崎市高津区のくらた動物病院の院長倉田です。今回は、フェレットの肥満細胞腫の症状や治療方法について解説いたします。

     

    フェレットの皮膚に急に黒い小さな塊が付着していることを発見することがあるかも知れません。

    黒い小さな塊の正体は血液が乾燥して固まったものです。黒い塊の下に赤い血液を認める場合もあるかも知れません。つまり、皮膚表面から出血を起こしていたわけですが、発見時に出血そのものの持続を認めることは、ほとんどの場合ありません。

    怪我をしたのではないかとか、同居のフェレットなどに咬まれたのではないかと心配される飼い主様が大勢いらっしゃいます。

    実は、このような症状を引き起こす最も可能性の高い病気は肥満細胞腫です。

    フェレットの皮膚にできる肥満細胞腫はほとんどの場合2~3mm程度の小さな腫瘤であり、円形で周囲よりもやや肌色の濃い皮膚表面からわずかに膨らんでいる腫瘤として認められます。

    この肥満細胞腫は、肥満細胞と呼ばれる免疫細胞の一種の腫瘍であり、重要な点としては犬などの他の動物種と異なり良性の腫瘍であるという点です。

    この肥満細胞は内部に炎症を起こすヒスタミンや血液の凝固を阻害するヘパリンという物質を含んでいて、肥満細胞腫は時々ヒスタミンやヘパリンを細胞の外に放出することがあり、その結果肥満細胞腫の周辺の皮膚が同心円状に炎症を起こして赤く腫れ、また中心の腫瘍表面から出血することがあります。出血といっても、滲み出るような程度ですが、先ほどのヘパリンという血液凝固を阻害する物質のおかげで滲み出る血液がなかなか凝固せず、じわじわじわじわ出続けます。このように出た血液が表面の毛にくっついて乾燥して固まった黒い塊を飼い主様が発見するのです。そのころにはさすがに出血自体は止まっていることがほとんどです。また、赤く腫れる状態も2~3日で自然に消失します。蚊に刺された皮膚が赤く腫れて数日で自然に消えるのと生理的には非常に似た現象です。

    フェレットの皮膚にできる肥満細胞腫は、赤く腫れて出血を引き起こすので発見すると驚きますが、良性の腫瘍であり赤く腫れていても何故かフェレットは痒がったりましてや痛がるそぶりも見せず、数日で自然に治り、尚且つ腫瘍として大きく増大することがほとんどの場合には起こらないため、過去には腫瘍治療の原則から早期に切除したり、ステロイドの塗布薬を塗ったりを試してみましたが、現在では頻繁な出血が起きないかどうかと、腫瘍自体が増大しないかどうかについて注意して頂きながら、原則として経過観察としています。

    以上、フェレットの皮膚にできる黒い塊の原因である肥満細胞腫について書いてみましたが、一見同じように見えるものでも異なる原因がありますので、皮膚に異状を発見した場合にはまずは獣医師の診察を受けていただく事を強くお勧めいたします。

    2024.01.19

    投稿者: くらた動物病院

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    ウサギの避妊手術について

    ウサギの避妊手術 必要性や時期、避妊のメリット・デメリットについて

    |川崎市高津区のくらた動物病院

     

    川崎市高津区、宮前区、多摩区、中原区、世田谷区の皆さんこんにちは。川崎市高津区のくらた動物病院です。今回はウサギの避妊手術の必要性や時期、メリットやデメリットについて解説いたします。

     

    ・うさぎに避妊手術は必要?避妊手術の重要性について

    4歳以上の中年期以降のウサギには、子宮疾患の発生頻度が非常に高く、文献による違いはありますが、4歳以上で50%~80%の頻度で発生するとの文献もあれば、6~7歳で

    60~70%の頻度で発生するとする文献もあります。いずれにしても、非常に高確率で子宮疾患が発生することは間違いありません。

    私の経験では、あるご家庭で飼育されていた3歳から6歳までのウサギ10匹全てを避妊手術した結果、全てのウサギに子宮疾患が発生していることを確認したことがあります。しかもこれらの中で症状を発症していたのは1匹だけであり、そのほかのウサギは外見上健康であり無症状でした。

    発生する子宮疾患は、多くの場合は腺癌です。また、子宮内膜過形成の場合も多く見られます。これらの疾患により発生する症状は、血尿として発見されることがほとんどです。当然ながら膀胱内の出血による真の血尿ではなく、子宮内で出血した血液が膣と尿道との接続部から尿に混じって排泄されるために血尿と誤認されます。経験的には尿に血液が混入したウサギの9割以上は子宮疾患であると思われます。

    この出血により貧血の発生を含めた全身の衰弱が発生し、病状の進行により生命に危険が生じます。また、文献によると腹腔内への腫瘍の浸潤は早期に発生し、進行性の肺や肝臓、骨への転移も発生から1~2年程度で発生するとされています。私の経験では、肺や肝臓などへの転移は稀であると考えていますが、十分な注意は必要であると考えます。

    以上の通り、中年期以降のウサギの子宮には、極めて高確率で悪性腫瘍を含めた疾患が発生するため、これらの発生を予防する目的での避妊手術は極めて重要であり、積極的に推奨すべきであると私は考えます。

     

    ・うさぎの避妊手術はいつがいい?適切な時期について

    文献的には6カ月から12カ月齢までに行う方が良いとされています。この理由としては12か月齢までのウサギはそれ以降の場合よりも腹腔内脂肪が少ないためとされていますが、私はむしろ十分に体が発達し、ストレス耐性も幼若時よりも充実していると思われる1歳から2歳前後までの手術の実施をお勧めしています。

     

    ・うさぎの避妊手術のメリット

    避妊手術をする上での最大のメリットは、将来において子宮腺癌を含む子宮疾患の発生を確実に100%予防出来ることにあります。また、発情期が無くなるため、個人差はありますが発情期に気性が荒くなるなどの、ウサギと共に暮らす上での不都合な状況の発生もなくなります。

     

    ・うさぎの避妊手術のデメリット

    第一に麻酔リスクが挙げられます。麻酔をかけただけで心肺停止を誘発する可能性があります。避妊手術を受けるような健康な動物が麻酔を受けた場合の死亡率は、犬では0.05%と

    2008年の文献で発表されています。これに対して同じ文献でのウサギの場合は0.73%と犬と比較すると高い確率となっていますが、内訳としては7652件という極めて多数の麻酔において56件が亡くなっているとの事です。

    また、同じ文献において疾患に罹患しているウサギの麻酔リスクは7.37%であるとされており、健康である場合と比較して約10倍のリスクとなっています。

    当院ではこれまでのところ健康なウサギでの麻酔による死亡例はありませんが、疾患に罹患しているウサギでは麻酔を掛けただけでの突然の心肺停止の例を経験しております。

    子宮疾患に罹患する前に避妊手術を受けることがいかに重要であるかが示されていると思います。

    麻酔リスクに関する文献が書かれた2008年の時点と現在とを比較して、現在のウサギに対する麻酔には大きな進歩があります。声門上器具といわれるチューブ状の装置をウサギの口から喉の奥に差し込んで気管の入り口にチューブの先端を被せることで、呼吸の管理をしっかりと実施する事が出来るようになりました。この器具を用いることにより、麻酔中のウサギの呼吸の状態が正確に把握できるようになり、また自発呼吸が停止した際にも人工呼吸が実施可能となりました。

    この器具が利用できるようになる前までは、このような呼吸状態の把握や人工呼吸の実施が不可能であったため、現在よりも麻酔リスクが高い状況であったのは間違いありません。

     

    ・ウサギの避妊手術後のケアと注意点について

    手術後のウサギには、強いストレスに起因する胃腸鬱滞の発生に注意が必要です。術後1日か2日間は多くの場合には鬱滞気味となりますが通常は自然に回復します。しかしながら3日以上胃腸鬱滞が持続する場合などは胃腸鬱滞の治療が必要となる場合も発生します。

    皮膚の縫合部については、当院では吸収糸を用いた皮内縫合の実施により、縫合糸が皮膚の表面には出ていないため、ウサギが自身で糸を切る心配はありません。

     

    ・まとめ

    どのような医療行為にもメリットとデメリットがありますが、ウサギの避妊手術に関しては、圧倒的にメリットの方が大きいと私は考えます。

    中高齢期になって子宮疾患に罹患し、激しい出血などの影響により全身の衰弱が進行し手術が不適応となってしまうことは、若いうちの避妊手術で100%防止できます。

    2歳前後での避妊手術を実施することを強く推奨いたします。

     

    2023.11.15

    投稿者: くらた動物病院

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    9月の臨時休診のお知らせ

    9月の毎週金曜日は、臨時休診とさせていただきます。

    お不便をお掛けいたしますが、予めご了承ください。

    2023.09.01

    投稿者: くらた動物病院

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    9月のお知らせ【診療時間変更と予約制導入につきまして】

    9月19日火曜日より、午後の診療を再開し、診療時間を9時30分から11時30分までと、14時から17時までに変更します。

    また同時に、これまでの受付順番制の受付体制から完全予約制へと変更いたします。

    ご予約は当院ホームページまたはLINE公式ページからのご予約をご利用くださいませ。

    お電話による予約受付は行っておりません。予めご了承ください。

     

    2023.08.23

    投稿者: くらた動物病院

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    院長休診日のお知らせ

    8月15日月曜日と16日火曜日は、院長の診療を休診致します。両日とも午前中のみの菊池先生の診療となります。
    宜しくお願い致します。

    2016.06.11

    投稿者: くらた動物病院

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    夏季休診日のお知らせ

    8月8日月曜日から12日金曜日まで、夏季休診日といたします。
    大変ご迷惑をおかけいたしますが、予めご了承ください。

    2016.06.11

    投稿者: くらた動物病院

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    くらた動物病院ブログ

    ブログを更新していきます。

    2016.05.16

    投稿者: くらた動物病院

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    開業12周年のお知らせ

    おはようございます。
    くらた動物病院は、本日4月8日に開業12周年を迎えました。
    当院を支えてくださる全ての皆様方に感謝いたします。
    今後とも宜しくお願い致します。

    2016.04.08

    投稿者: くらた動物病院

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    徳島県 みなみ動物病院開業のお知らせ

    当院で勤務医として6年間余りの間頑張ってくれた南先生が、地元徳島県で本日3月14日に開業しました。
    犬猫はもちろんの事、彼のフェレットの診療経験は非常に豊富ですので、開業地の徳島県はもとより近隣の県にお住いのフェレットの飼い主様には非常に強力な味方になってくれるものと思います。
    当院のホームページをご覧いただいたフェレットの飼い主様で、徳島県周辺の方がおられましたら、みなみ動物病院を宜しくお願い致します。

    2016.03.14

    投稿者: くらた動物病院

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    動物看護師募集のお知らせ

    現在当院では、動物看護師を募集しています。
    詳しくは当HPの求人コーナーをご参照ください。
    ご応募をお待ちしております。

    2016.02.26

    投稿者: くらた動物病院